今回、当社では建設会社の経営者を対象に、シニア世代のベテラン従業員に関する調査を実施しました。
◆平均年齢が30歳未満の建設会社は約1割程度しかない!?建設業務に“年齢”は関係するのか!?
はじめに、建設業界の職場の平均年齢を伺っていきましょう。
「職場の平均年齢は以下のどれに当てはまりますか?」と質問したところ、『40歳以上~50歳未満(38.6%)』と回答した方が最も多く、次いで『30歳以上~40歳未満(28.6%)』『50歳以上~60歳未満(21.9%)』『20歳以上~30歳未満(8.4%)』『60歳以上(1.7%)』『20歳未満(0.8%)』と続きました。
6割以上の職場の平均年齢は40歳以上と判明しました。
一方で、平均年齢が30歳未満の職場は1割程度であり、建設業界の若手離れがいかに深刻なのかが伺えます。
建設業界の職場の平均年齢が明らかになりましたが、建設業界に年齢は関係あるのでしょうか?
「建設業界に年齢は関係あると思いますか?」と質問したところ、『関係ない(6.5%)』『どちらかといえば関係ない(12.2%)』と回答した方を合わせて約2割の方が『関係ない』と回答しました。
建設業界は力仕事以外にも現場監督や施工管理、工事監理など多くの仕事があります。
仕事の幅が広いからこそ、年齢は関係ないと思う方がいるのかもしれません。
では、建設業界に年齢は関係ないと思う理由について伺っていきましょう。
■年齢は関係ないと思う理由は…?
・やる気や人柄など、少しでも力になってくれる人が必要と考えているから(30代/男性/埼玉県)
・年配の方は知識が豊かで、若手は力やアイデアがあるので(40代/女性/愛知県)
・技術があればいつまでも働けるので(40代/女性/埼玉県)
・必要なのは理解力、技術力、判断力、正確な納期などであり、年齢は全く関係ない(50代/男性/滋賀県)
などの回答が寄せられました。
若手世代は体力や吸収力があり、シニア世代は知識や経験があるため、年齢は関係ないと思う方がいるようです。それぞれの世代が持つ良さを活かし、世代を隔てず、仕事に繋げることが大切なのかもしれません。
◆ベテラン従業員がいると安心する?シニア世代の従業員が必要な理由とは
建設業界は、専門性の高い資格を必要とする作業や危険が伴う作業があるため、ベテラン従業員の存在が重要です。
みなさんもベテラン従業員がいることで安全が守られた経験や作業が効率化された経験があるのではないでしょうか?
では、どのくらいの方がベテラン従業員がいると安心できると思うか伺っていきましょう。
「建設業界にベテラン従業員がいると安心できますか?」と質問したところ、『安心できる(43.9%)』『どちらかといえば安心できる(46.6%)』と回答した方を合わせて9割以上の方が『安心できる』と回答しました。
やはり、多くの方がベテラン従業員がいることで安心するようです。
ベテラン従業員が持つ知識や経験は、非常に重宝されるのかもしれません。
ベテラン従業員がいることで周りの方は安心するとわかりましたが、60歳以上のベテラン従業員は必要なのでしょうか?
「建設業界においてシニア世代のベテラン従業員は必要ですか?」と質問したところ、『必要(40.4%)』『どちらかといえば必要(49.4%)』と回答した方を合わせて約9割の方が『必要』と回答しました。
多くの方が、シニア世代のベテラン従業員を必要と感じているようです。
その理由は何なのでしょうか?
■シニア世代のベテラン従業員が必要な理由は…?
・安心感があり、アドバイスをもらえるから(30代/女性/神奈川県)
・若手へのアドバイスが上手くできるから(40代/女性/愛知県)
・技術力や指導力が身に付いているから(40代/男性/大阪府)
・豊富な経験に基づくノウハウを持っているから(50代/男性/岐阜県)
などの回答が寄せられました。
シニア世代のベテラン従業員は、長年培ってきた経験や知識を持っており、若手世代にアドバイスができることから、必要と感じているようです。
周りの方は、シニア世代の熟練した技術や豊富な経験を頼りしているのかもしれません。
◆シニア世代の求職者数と採用数は増加している!?
先程の調査で、建設業界において、多くの方がシニア世代のベテラン従業員を必要としているとわかりました。
では、シニア世代のベテラン従業員が必要とされる中で、シニア世代の求職者数の割合に変化はあったのでしょうか?
「シニア世代の求職者数の割合はどのように変化していますか?」と質問したところ、『年々増加している(15.6%)』『増加している気がする(38.3%)』と回答した方を合わせて5割以上の方が『増加している』と回答しました。
シニア世代の求職者数は増加しているようです。
「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」が一部改正され、希望者は65歳まで働くことが可能となり、働けるまで働きたいという方が増えているからかもしれません。
では、求職者数は増加しているとわかりましたが、それに伴って採用数も変化したのでしょうか?
「シニア世代の求職者の採用数はどのように変化していますか?」と質問したところ、『増やしている(11.7%)』『少し増やしている(29.5%)』と回答した方を合わせて4割以上の方が『増やしている』と回答しました。
建設業界の若手離れに伴い、豊富な知識や経験を持つシニア世代のベテラン従業員を確保したいと思う会社は増えてきているようです。
労働意欲があり、知識や経験を持つシニア世代は重宝されるのかもしれません。
◆シニア世代のベテラン従業員に任せたい仕事が判明!
建設業界においてシニア世代の採用数は増えつつあるとわかりましたが、採用後はどのような仕事を任せたいと思っているのでしょうか?
「シニア世代のベテラン従業員に任せたいと思う仕事を教えてください(複数回答可)」と質問したところ、『若手世代の育成や教育(56.8%)』と回答した方が最も多く、次いで『施工管理(41.0%)』『工事監理や品質管理(29.8%)』『安全巡回や現場管理(26.8%)』『建築設計(17.7%)』と続きました。
シニア世代のベテラン従業員に、若手世代の育成や教育をしてほしいと思っている会社は多いようです。
その他にも、専門知識を持っていたり、臨機応変に対応できたりすることから、施工管理や工事監理、品質管理などを任せたいと思うのかもしれません。
シニア世代のベテラン従業員に任せたいと思う仕事が明らかになりましたが、仕事を任せたいと思う理由は何なのでしょうか?
■シニア世代のベテラン従業員に仕事を任せたいと思う理由は…?
・若手の教育が上手く、若手が育つのが早いため(40代/男性/群馬県)
・危険予測ができて安全に仕事ができるため(40代/男性/新潟県)
・現場の状況に応じて臨機応変に対応してくれるため(50代/男性/静岡県)
・知識が豊富で作業時間が短縮されるため(50代/男性/北海道)
などの回答が寄せられました。
若手世代の教育や臨機応変な現場対応、経験を元にした作業の効率化など、シニア世代のベテラン従業員が活躍する場所は多いようです。
若手離れが深刻な今、建設業界を救うのは即戦力となるシニア世代のベテラン従業員なのかもしれません。
(まとめ)
今回の調査で、6割以上の建設会社は、平均年齢が40歳以上だと判明しました。
建設業界には年齢は関係ないと思っている方もおり、その理由のひとつとして、世代によって求められているスキルが異なることが挙げられるようです。
また、約9割の方が、技術力や指導力、豊富な経験に基づくノウハウを持っているシニア世代のベテラン従業員を必要としていることも判明しました。
シニア世代の求職者数は年々増えており、それに伴って採用数も増えています。
若手世代の教育や、施工管理などの仕事を任せたいと思っている会社もあるので、シニア世代の方は建設業界への復帰を検討してみてはいかがでしょうか?